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今の福祉を考える~法人リーダーに問う

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今の福祉を考える~法人リーダーに問う~

「聴覚障害者情報センター今昔ものがたり」


北九州市聴覚障害者情報センター課長 友瀬 幹夫(ともせ みきお)


 平成27年4月。16年振りに聴覚障害関係の部署に戻ってきた。

 今回は、戻ってきた時に率直に感じたことを、私が通訳者だった当時と比較して書きたいと思う。

 専従手話通訳として、当時は2年間という短い期間ではあったが、ボランティア活動では決して遭遇できない緊張の場面の連続に、胃に穴が開く思いをしたことを今でも鮮明に覚えている。

 因みに昭和55年4月1日からは、専従手話通訳者が手話奉仕員派遣事業として2名、手話通訳兼盲人代筆者配置事業として3名設置され、2名は聴覚障害者の依頼に応じて指定の場所に行くという派遣で対応し、3名は各区の福祉事務所や区役所福祉課に半日待機し、その場で通訳応対する形式だった。

 それから、平成7年には5名の専従通訳者全員が派遣対応に変更された。

平成26年度の派遣件数は、専従手話通訳が3,680件、専従通訳で対応出来なかった依頼を当協会の手話協力員で対応した件数が1,026件、合計すると4,706件で、その他盲ろう者の通訳派遣や手話ボランティア等の活動件数を加算すれば、膨大な通訳依頼が寄せられていることが浮き彫りになってくる。しかし、問題は依頼件数ではなく、手話通訳の内容とそれを支える人材の確保や維持である。通訳内容については、その内訳を見てみると、病院受診の件数が圧倒的に多い。私が手話通訳をしていた頃に50、60代だった人が、今では70、80代となり、病院受診が増えてくる世代になっている。50代では年数回程度だった病院の受診の通訳も、70代になり突然の体調不良、緊急の受診や手術など、通訳件数も増えているが、通訳1件にかかる時間も大幅に増えるようになった。これらの現状を踏まえ、聴覚に障害のある人たちが、いつでもどこでも手話通訳者を伴った診察や手続きが受けられるためには、手話通訳者の養成と確保が急務であることを実感した。

 昨今のIT技術の進歩により、聴覚に障害のある人たちをサポートする機器の発展は目まぐるしく、目を見張るものも多い。派遣先に専用のモニターを設置してくれる所が増えてくれば、直接通訳者が行かなくても画面を通じて通訳ができるようになったり、ちょっとした手話なら自動的に翻訳してもらえるような機械が開発されたり、そのような時代になるかもしれない。しかし、対人援助は生ものであり、何が起こるか分からない。通訳の場面において、何が起こるか分からない事態に対し、変化に応じてすぐに対応できるのはやはり手話通訳者であり、そこは今も昔も変わらないのだと思う。

今回16年ぶりの復帰となったが、対人援助が中心となる医療・教育・福祉の3業種はまだまだアナログの力が必要であるということを改めて感じた異動であった。

友瀬課長の顔写真

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