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機関誌「しんしょうだより」

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LENCONのはじめの一歩

列車、また列車、そして海。そして遠い所。永松 玲子(ながまつ れいこ)

 

※サリドマイドの薬害のため、両肩から数本の指が少し出ていて、左目は失明、右目も眼球振動があり弱視(近づけば人がいるか識別できる)

 

 ある寒い日、父はいつものように仕事をしていましたが、母は何となく忙しそうでした。そのうち食事やお風呂も済ませたかと思うと、みんなきちんとした服を着て戸畑駅へ向かいました。

 私は「なんでこんな夜なのに、駅に行くんだろう」と思ったのですが「あ、そうか、この前言っていた徳島に行くんだ。みんな一緒で楽しいな。」なんてのんきに喜び、列車が来るのを待ちました。

 どれくらい列車を待ったか分かりませんが、だんだん体が寒くなり、もう帰りたいと思った頃にやっと列車が来たので、私たちは乗り込みました。

 ところがいすに座って窓を見たとき、父と妹は列車ではなくホームで私達を見ていました。その時私は、徳島へ行くのは、私と母二人だけだと気が付きました。

 「父と妹と駅で別れるってことは、もしかして徳島で母とも別れるの?」と思い始め、すごく不安になりながら列車に揺られていきました。

 しばらくすると、私は母に起こされ、列車を乗り換えるからと言われ、眠い目をしばしばさせながら乗り換えました。

 しばらくして今度は連絡船に乗り、海の上で朝を迎えました。「すごく遠いところまで来たなぁ、もう帰れないんだ」とあきらめがつき、もう一度列車に乗り換えました。最後にタクシーに乗りました。そして、その目的地は「ひのみね学園」という徳島の総合療育センターだったのです。

 しばらくして母と「ひのみね学園」の職員との話しが終わり入園の手続きも終わった後、

やっぱり私は母と別れ、そこで訓練を受けることになりました。

 家族と別れて暮らすというその生活は足立学園で慣らされたので、母が帰る時はちゃんと見送ることもでき、涙も出ませんでしたが、明日からどんな訓練をするのかそれだけが不安でした。

 徳島に行く話が出た時、誰が言ったのかもう憶えていないのですが、「もしかしたら自転車にも乗れるようになるかもよ」の一言を胸に、訓練をがんばろうと決めた日を憶えています。

 徳島での訓練は、いったいどんな訓練なのでしょう。

ここまで本文です。

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