それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
エピソード30 「知ることこそ近道①『片腕の人の困りごと』」
公衆トイレで用を済ませて洗面台に向かうパパパンダ。
事故により左腕の肩から下を失ったパパパンダは、日常生活の必要な作業をすべて右腕のみで行っています。
今回のパパパンダの勝負はこの洗面台で始まります。
公衆トイレで石鹸を使いたいとき、片方の手で上からプッシュしてもう片方の手で石鹸を受け止める手動式の石鹸タンクがまだまだ多いですよね。この手動式石鹸タンクは片腕だけの人には使えません。なぜなら両手で同時に使用することが前提に作られていますから。
「いざ勝負!」
それでも何とかしようと、何度も片手でプッシュしては瞬時に石鹸を受け止めるべく下側に手を持っていくパパパンダですが、プッシュと同時に石鹸が出てしまうため、何度やっても結果は同じ、惨敗です。いつかセンサー式の石鹸タンクに替わってくれることを願いながら、寂しく帰っていくパパパンダなのでした。
片腕だけの場合、両腕が使用できる人には気づかない困りごとが生活の中にはたくさんあります。
例えば以下のようなものがあります。
・食材を切る(カボチャなど、固い野菜が押さえられない)
・容器を開ける(缶詰、ペットボトル、レトルト食品のパウチなど)
・服の脱着(ボタンを留める、ジッパーをかみ合わせて引き上げる、など)
・靴ひもや髪などを結ぶ
・身体を洗う(残った方の腕や肩を洗う)
・ながら動作(傘をさして荷物を持つ、財布から小銭を出す、など)
これはほんの一例で、他にも挙げればキリがありません(実際は、物を固定したり動作をアシストするなど、片腕でも動作ができるように開発された自助具によって本人ができることは増えています)。
車いすの人、目が見えない人、高齢の人や親子連れなど、不特定多数が利用する設備で、これらすべての人の使い勝手を想像して快適に利用できるように設備を整えるのは、作る側によほどの経験、知識がないと難しいです。ですが、知らなくても困っている人の声を聴いて少しずつ改善することはできるはず。結局、不便がある➡声を聴いて改善する、その繰り返しが、すべての人に快適なユニバーサルへの一番の近道だと思います。
パパパンダの声が届いて、片手でも使用できる設備が増えていくことを願います。



