北九州、再発見!!~ユニバーサルな観光スポットを♪~
到津の森公園
北九州市で生まれ育った人ならば、誰もが知っている「到津の森公園」。前身である「到津遊園」という名前の方に聞き馴染みがある人も多いかもしれませんが、昭和7(1932)年に開園した「到津遊園」は、平成12(2000)年に経営不振から閉園となりました。しかし、存続を強く願う市民の声によって整備され、2年後の平成14(2002)年、再び市民の動物園「到津の森公園」として開園しました。開園から20年が過ぎた到津の森公園では今、着々とバリアフリー化が進んでいると聞き、訪ねてみました。
公園は元々丘陵地(きゅうりょうち)に作られたこともあって、園路には坂道が多く、高齢の方や車いすの方が周りにくいという難点がありました。以前は、バス通りに面した南側の入口もちょっとした坂を上がったところにありましたが、実(じっ)寸大(すんだい)のキリンの絵が描かれたエレベーターが設置され、フラットな場所から入園できるように改良されています。園内も、勾配(こうばい)がやや急な所には、フラットなウッドデッキにつながるエレベーターが設置されています。ライオンやゾウやキリンなど人気の動物たちはフラットなエリアにいるので、障害のある人や小さなお子さん連れの方も、広範囲に周りやすくなった印象です。園では車いすやベビーカーの貸出もしています。
ひときわ小高い丘の上から北九州市内を一望できる観覧車(かんらんしゃ)は、到津遊園時代からのランドマーク。大きさを誇る昨今の観覧車とは一線(いっせん)を画(かく)し、昭和の程よいサイズで回っています。ゴンドラのうち一機は車いすのまま乗れるように乗り口が広くなっていました。乗り場まではエレベーターで無理なく移動できますが、乗り場へ至る坂道は、少々頑張らないといけません。
「今は動物たちも福祉の時代なんですよ」と、お話を伺った担当の平野さんが教えてくださいました。「動物たちの生活環境にコンクリートではなく土を入れて緑を植えたり、退屈しないように遊具を置いたり…動物たちのためにと進めていくと、小さなお子さんや車いすの方から動物が見えにくくなってしまって。これでは動物に優しくても人に優しくないですよね。難しいところです」
園の一画には、昭和から手つかずの自然がそのまま残るエリアがあります。鬱蒼(うっそう)とした木々からは森のエネルギーが漂っていました。「自然・動物・人にやさしい施設づくり」をコンセプトに掲げた「到津の森公園」―何度でも訪れたくなる理由、市民に愛され続ける理由は、そこにあるのかもしれません。
【到津の森公園】
〒803-0845 福岡県北九州市小倉北区上到津4-1-8
TEL:093-651-1895(9:00~17:00) FAX:093-651-1917