4 ちょっと一息~リレーコラム
語り・話芸の面白さ
相互貸借貸出担当 三木 和子
昨年、映画サークル主催の「映画の原点 北九州活弁LIVE」に参加しました。ピアノ演奏と活動弁士の軽妙な語りで、物語が展開していきます。登場人物の動きの面白さを、より際立たせる演出効果で、登場人物(役者さん)が、映像の中で、自ら台詞を言うトーキー(発声)映画にはない面白さがありました。
語りには、講談や浪曲(浪花節)、落語といった、素晴らしい話芸があります。
講談は、戦国時代に生まれ、軍記物や政談など主に歴史にちなんだ噺を、客観的な視点で、特徴的な語り口で読むものです。浪曲(浪花節)は、日本で明治時代初期から始まった演芸で、長い読み物から場面を取り出し、三味線の伴奏に合わせ、情感豊かに唄を唸ります。落語は、江戸時代の日本で生まれた「話す芸」です。登場人物の個性を表現したり、笑いを身振り手振りで描いたりします。最後に「落ち」がつくことで落語と呼んでいます。
子どもの頃、ラジオから ♪旅~ゆけばぁ~・・・駿河の里(クニ)にぃ~茶のかおりぃ~♪ や、♪馬鹿は死ななきゃ~ 治らない~♪、♪天野屋利兵衛は男でござる~♪ 浪花節の一節が流れていました。子供のくせに「渋い!!」。祖父は日がな一日、長火鉢の前に座り、講談、浪曲(浪花節)、落語、民謡などを聞いていました。そばで聞いていた、私の好きな演目は「忠臣蔵」を題材にした「赤穂義士伝」。「堀部安兵衛・高田馬場の決闘」「赤垣源蔵・徳利の別れ」「南部坂雪の別れ」、吉良家討ち入りの場面の過強「山鹿流の陣太鼓」の一打ち(ヒトウチ)、二打ち(フタウチ)、三ながれのドン・ドン・ドーン・ドン・ドン・ドーンの響きを聞くと、胸が熱くなりました。講談や浪曲は、語り手の話術で、イメージが広がり、歴史の世界へ誘(イザナ)ってくれます。最近は、テレビやラジオより、ネットを利用してNetflixの映画やドラマ、YouTubeやTikTokの動画を観る方が増えています。映像と音の世界で、観て・聴いて感じる面白さもよいですが、語り手の話術で、頭の中に映像を創作する面白さ!も良いものです。面白いテレビといえば、大河ドラマです。
今年は、平安時代の愛と情熱、千年を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部が主人公の「光る君へ」です。語り(ナレーション)の話芸で、平安の世界を楽しみましょう。