社会資源紹介コーナー~つなぐ、つながるために~
地域活動支援(ちいきかつどうしえん)センター 北九州マック
ネット依存、スマホ依存、ゲーム依存…コロナ禍の中で急増したというニュースを耳にします。「やめたいけどやめられない」「コントロールできない」依存症は、実は誰にとっても遠い話ではないのかもしれません。
今回は、様々な依存症からの回復をサポートする、地域活動支援センター「北九州マック」に伺い、依存症の現状や、マックで行われる回復プログラムについて取材しました。
北九州マックには、現在50名ほどの方が登録されています。依存症の種類は、アルコール、薬物、ギャンブル、窃盗など様々です。窃盗、万引きが止められない常習窃盗は、犯罪なので処罰されるものという認識が一般的です。しかし、「盗みが悪いとわかっているのに」「お金はあるのに」衝動が抑えられない「窃盗症」という精神疾患の場合、必要なのは刑罰ではなく、依存症治療なのだという考え方が広まってきています。「借金がいっぱいあるのに、また借金をしてパチンコに行く」「何回捕まっても薬が止められない」「入退院を繰り返しているのにお酒がやめられない」…「駄目だとわかっているのに止められない」―その病理性は変わらないといいます。
「依存症をその人個人の病気の問題と捉えたら、ペナルティは意味を持ちません。ペナルティによる「孤立」は孤独感を生みます。孤独感を持ったまま、人は生きていけないんです。酒に酔いたい、薬で忘れたい、万引きのスリルを味わいたい…となってしまう。マックでは、その人を社会の中で処遇し、適切なプログラムを行うことで回復を進めて行きます。ここ4、5年で、司法関係者からの相談も増えました。」と、施設長の髙田(たかだ)さんは話します。
回復プログラムの主な柱は「ミーティング」です。毎日、午前と午後、様々な依存症の方が一緒になってミーティングを行います。12ステッププログラムというプログラムを軸に行われるミーティングの中で、参加者は様々な生き方や生きづらさを聞き、分かち合うことになります。
「依存症真只中の人は、自己中心的で人の話を聞かないものです。でも集団の中で、何か感じるものがあると変わってくるんです。配慮や思いやりが生まれ、人間らしくなっていく。スタッフがそれを狙って導いたわけではなく、集団の中で内側から生まれてくるものなのでしょう」
そして、仲間の中からスポンサー(助言者)とスポンシー(助言を受ける人)が生まれ、話が出来たり聞けたりする場所、居場所が出来る。それが支えとなって、仲間と共に回復へと向かって行く―「孤立しない」ことがどれほど大きな意味を持つのかが分かります。
マックのOBでもあり、現在はマックが運営するグループホーム「クロップハウス」の施設長でもある秋月(あきづき)さんが、こんな話をして下さいました。「マックに入った翌年の春、初めてみんなとソフトボールをやった時は自分が信じられなくて。長いこと患って、何度も入退院を繰り返して、病院も打ち切られて、もうこのまま死ぬんだろうと思っていた自分が、みんなと元気にソフトボールの球を追いかけて走っている。桜がすごく綺麗な時で、すごく嬉しくて夢を見ているみたいでした。あのまま死んでいたら、そんな感情を知ることはなかったです。生きてこそ、です」
北九州マックでは、本人はもちろん、ご家族の悩みや相談にも応じています。依存症という病気をよく知ること、対応を学ぶことが回復の近道です。北九州マックは、その道のりを見守り、サポートする施設です。
北九州マック
小倉北区大手町6-27
管工事(かんこうじ)協同組合ビル3階
開所時間:午前9時~午後5時(年中無休)
TEL: 093-967-7691
FAX: 093-967-7692
※相談支援・プログラム利用は無料