生きがい
「彼の世界」
彼の名前は、友近邦宏さん。知的障害があり自閉症です。
彼には、誰にも真似できない光り輝く才能があります。
その才能を発見したのは2016年5月。事業所として、個別での活動をスタートして間もないころ、絵を描いてもらった事がきっかけになります。
初めて描いたのは慣れ親しんだ車の絵。それまで行っていた活動の時とは違い、鉛筆と色鉛筆を使い黙々と絵を描く姿が印象的で、とても集中して意欲的に取り組んでいました。
時間をかけて完成した作品を見てビックリ。「すごい」と感じたと同時に「いろんな人に彼の作品を見てもらいたい」と思った瞬間でした。それから、今の活動スタイルに変化するまで、時間は全くかかりませんでした。私たちにも、絵を描く楽しさが伝わるほど、毎日絵画の活動を行い、多くの作品を生み出していったのが印象的です。以来、さまざまな作品展に出展するようになり、それが多くの人に彼を知ってもらえる機会、彼の作品を見てもらえる機会となっています。
作品が評価を受けたのは、初めての出展からでした。絵の構成、色使い、表現方法・・・1枚の画用紙の中に、彼にしか描けない素晴らしい世界が広がっており、北九州市をはじめ、福岡県の美術展、全国が舞台の芸術祭や機関誌など、多くの方々から評価と賞賛をされるようになりました。2019年には1年を通して、北九州市役所、ドン珈琲館(小倉北)、図書室カフェITOH(戸畑)の3ヶ所で、念願であった個人の作品展も行う事ができ、彼の絵を見た方も多いのではないでしょうか。
今年は、絵画の活動を始めて5年目の節目の年になります。生み出した作品は300点以上になり、どの絵を見ても彼の才能が光るものとなっています。この4年間の活動を振り返る中で一番変化したのは彼自身だと思います。意欲的な活動ができたことで、表情が豊かになり、苦手なことにも挑戦できるようになった、彼自身が大きく成長したと感じています。
今後も小さなアトリエで、思いを込めた素晴らしい作品を生み出して欲しいと思います。
社会福祉法人 北九州市手をつなぐ育成会
インクル曽根