それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
〈エピソード9〉~見た目だけでは分からない~
多目的トイレは、普通のトイレだと使いづらい人たち(車いすユーザー、ベビーカーを使用する親子、LGBTの方、高齢者、オストメイトなど)が優先的に使用するトイレです。ほとんどの多目的トイレは男性用トイレと女性用トイレの真ん中にあり、「みんなのトイレ」や「誰でもトイレ」といった名称で呼ばれていたりもします。
スペースが広く介助者・家族と一緒に利用できる、手すり、オストメイト対応トイレ、おむつ交換用ベッドやベビーチェアといった設備があるなど、さまざまな機能が備えてあり、いろいろな人たちが利用することができます。
いろいろな人が利用することができるのは一見便利そうに見えますが、逆に機能が一か所に集まりすぎて、普通のトイレが利用できない人にとっては、多目的トイレを必要とする人の利用が重なると待ち時間が長くなって不便な思いをすることになります。
また、最近ワイドショーでも取り上げられた目的を誤って利用する人や、普通のトイレを利用できるのに多目的トイレを利用する人がいると、本当に必要な人が利用できない結果になります。
今回登場するパパパンダはオストメイト(大腸がんや膀胱がんの手術により人工肛門や人口膀胱を増設した人)であり、袋にたまった便や尿をトイレに流して装具のまわりを洗浄するためにオストメイト対応トイレを利用しています。オストメイトは多目的トイレにあるオストメイト対応トイレを必要としているけれど、外見上は障害があるように見えないために、トイレから出てきた時に嫌な目で見られてしまうことがたくさんあるのです。
「もう慣れましたけど」とパパパンダは言いますが、本人の慣れで終わってはいけません。
車いすユーザーや視覚に障害のある人、子ども連れや高齢者など、外見で多目的トイレの利用が必要だと分かる人もいれば、今回登場のオストメイトやLGBTなど、外見だけでは分かりづらく誤解され悲しい思いをしている人たちもいるということをどうかご理解ください。
最近では、オストメイト対応トイレやベビーチェアなど、一部機能を多目的トイレではなく普通の個室に設置する「機能分散」という考え方も広がってきています。多目的トイレを必要とする人が利用できる機会を増やすようにするこのような考え方も必要なことですね。