いよいよスタート『改正障害者差別解消法』
~合理的配慮を考える~②
北九州市身体障害者福祉協会
理事長 竹田 英樹
改正障害者差別解消法が令和6年4月1日からスタートしました。
この法律をきっかけとして社会が変わっていくには何が必要なのでしょうか?
前回の続きで2回目となります。
【国の姿勢】
先日、幼い時に一生自分の足では歩けない病気にかかった車いすを使用する中学生の女性の高校進学について放送されていました。女性は「受験校を決めるのに、同級生は『あの高校はダンス部がある』『サッカー部がある』など、自分のしたいことがある高校を受験すると言っていますが、自分にはその選択は有りません。どの高校にエレベーターがあるのかの選択肢しかありません。」と言っていました。
社会のバリアによって自分の夢を選択できないなんて、あまりにも悲しい選択ではありませんか。
若者の将来を、障害を理由にあきらめなくて良くするために、法整備を行うのは国の責務です。
建築基準法第34条にこういう条文があります。
「高さ31mを超える建物には、非常用の昇降機(エレベーター)を設けなければならない」
この建物の高さは、6階~7階建て以上の建物になります。
この条文において、非常用の昇降機を2階建て以上で不特定多数の人が利用する建物に設置すると内容を変更するだけで、前述の中学生の問題は解決されますし、困っている他の人たちの利便性も上がります。
障害のある人も、一人の国民なのです。「国民全員にあてはまる」ものとして法律の整備は考えなければなりません。
【最後に】
レストランと車いす使用者のエピソードをひとつ。
車いすを使用する人が、「ランチが評判のお店がある」と友人から聞いて、そのお店に一人で行きました。しかし、お店の入口には階段があり、車いすでは入れません。しかたなくそのお店で食事することをあきらめました。
ちょっと待って! “あきらめないで!”
勇気を出してそのお店で食事がしたいことを一度伝えてみてください。お店の方もどうしたらいいか一緒に考えてくれるかもしれません。ただ単に受け入れの方法が分からないだけで、接し方が分かるとスムーズに受入れをしてくれるかもしれません。また、今すぐではないかもしれませんが、入口の階段をスロープにしてくれるかもしれません。
誰でも初めの一歩はとても困難なもので、どう言えばいいか分からないかもしれません。また、伝えた結果「無理なことを言わないでください」などと言われ、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
ですが、あなたのその最初の勇気が後から来る人たちの道を切り開き、社会を変えていくのです。