いよいよスタート『改正障害者差別解消法』
~合理的配慮を考える~①
北九州市身体障害者福祉協会
理事長 竹田 英樹
改正障害者差別解消法が令和6年4月1日からスタートしました。
この法律をきっかけとして社会が変わっていくには何が必要なのでしょうか?
これから2回に分けて取り上げていきたいと思います。
今回は、「改正の内容」「現状の課題」「社会の側の姿勢」という視点です。
【事業者への合理的配慮義務化】
今回の改正法のスタートにより、事業者による合理的配慮の提供が『努力義務』から『義務』となりました。
新旧条文(第8条第2項)の比較は以下のとおりです。
旧:事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において~(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
新:事業者は、~(中略)合理的な配慮をしなければならない。
障害のある人と接したことがないような場合、前例がないとか、もし何かあったら…など不安もあると思いますが、本人に聞きながら何ができるかを一緒に考えることが大切です。
困りごとは人によってそれぞれ違います。法律に明記はありませんが、合理的配慮の趣旨としては「何が必要で、どこまでできるかを一緒に考える(建設的対話)こと」が大事だということです。
【広報活動の必要性】
障害者差別解消法が平成28年にスタートして7年が経ちました。
しかし、この法律のことを知らない事業者の人たちは未だに多いです。また、障害当事者や福祉関係の団体の人も、法律の名前は知っていても、内容まで詳しく知らないという人たちがまだまだ多いです。
そして、今回の法改正によって合理的配慮が義務化となりましたが、事業者からは、障害のある人から配慮を求められてもどう対応していいか分からないという声もあります。
対応が分からない事業者の相談を受け、どのように対応したら良いか、アドバイスが聞ける場があることを知ってもらうのは大切です。
法律の対象となる事業者に対して、この法律の内容についてどう広報を進めるかは、今後の課題だと思います。
【社会の側の姿勢】
障害のある人から配慮を求められた時の対応が合理的配慮ですが、配慮を求められてから対応を考えるのではなく、障害のある人も大切な一人のお客様として、他の人と同じサービスが提供できる環境を事前に作っておくこと(環境の整備)は大切です。それが結果として、障害のある人だけではなく、小さなお子さんをお持ちの方、加齢により足腰が弱ってきた人、耳が聞こえづらくなった人、目が見えにくくなった人など、他の人にとっても通じる配慮になります。
社会の側が、合理的配慮が求められるのを待つのみではなく、障害の有無に関係なく、平等に社会参加できる機会を提供する環境づくりが大切です。
次回へつづく…。