それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、いろいろな場面に登場する「それあるっ!劇場」
今回は「視覚障害の人」のお話です。
〈登場人物〉
エピソード22~あっち、こっちってどっち?~
今日は友達と遊びに行く日。
待ち合わせまで時間があったので、時間をつぶそうとふとデパートに立ち寄った視覚に障害のあるパンダくん。
扉から中に入って、ベンチの場所が分からなかったので、声を掛けてくれた近くの人に案内してもらいベンチに腰掛けます。
スマートフォンで今日は何を買おうか、友達と合流した時に買いたいものなどの情報を仕入れたりしながら時間をつぶします。そんなことをしていると時間になってきたので、立ち上がり待ち合あわせ場所の駅前まで移動しようと、向かいから聞こえた足音をたよりに、来た人に「出口はどこですか?」と聞いてみました。
するとその人は「入口と同じですよ」とポツリつぶやいて消えてしまいました。
結局、パンダくんはその後来た人に出口まで案内されて、無事駅前に行くことができましたとさ。
そんなことある? と思うかもしれませんが、見えるものを基準に「あっちにありますよ」とか「そこ右です」のような、「あっち、こっち」で説明されることは良くある話。
視覚に障害のある人へ場所を案内する時に大切なことは何でしょう?
見える人は方向を指さしながら、お互い目で見て案内が出来るので「あっち、こっち」などの代名詞で話しても方向は確認できます。会議の時もよく「ここのこれをあーして、そこのそれをこーしたら良いんじゃない?」「ふむふむ」みたいな会話がありますが、物を見ながら話をする見える人と違って、視覚に障害のある人には代名詞だと状況が全く分かりません。
それらはあくまで見える人の話の仕方であって、視覚に障害のある人たちは「あっち、こっち」などで伝えても全然分からないということを知ってほしいと思います。
もし、今回のような場面に遭遇したら、「ここから反対方向に10メートルくらい進んだら出口ですよ」など、具体的な数字で伝えていただけるとありがたいです(一緒に出口まで案内してもらえると一番良いのは言うまでもないですが)。
「入口と同じですよ」と言われ「そりゃそーでしょうけど!!」と心の中でつぶやくパンダくん。
あっち、こっちってどっち?
見えない人の立場で考えてみませんか?