それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、いろいろな場面に登場する「それあるっ!劇場」
今回は「障害の社会モデル」についてのお話です。
〈登場人物〉
エピソード20 ~すぐそこ、が結構遠い~
今回登場のパンダちゃん、下肢障害があり普段は松葉杖を使って歩行をしています。
今日は友人から飲み会に誘われ、駅近くのお店に行くことになりました。
お店の名前は「すぐそこ屋」。場所は駅から歩いて5分だから、皆(みんな)で歩いていこうと友人は言っています。歩いて5分が少し気になりますが、皆でと友人も誘ってくれているので、結局歩いて行くことにしたパンダちゃん。
待ち合わせ場所について、皆で歩き出しますが、お店はすぐそこのはずなのになかなかたどり着きません。友人たちに見守られながら、少しずつ進んでいくパンダちゃん。やっとお店に到着したころには汗だくで疲労困憊(こんぱい)の様子。その後は大丈夫だったのでしょうか?
友人たちには歩いて5分の距離でも、パンダちゃんにとってはとても遠い距離だったようですね。
歩いて5分、皆さんはどう感じますか?
5分だと感覚的には近いと感じるかもしれませんが、実際の距離にしてみるとどうでしょう?
不動産における「徒歩何分」の表示にはルールがあるらしく、「徒歩1分は80メートル相当」として計算されているそうです。そうすると、「歩いて5分」は距離にすると400メートルになります。
健康な若者にとっての400メートルは、それほどの距離に感じないかもしれませんが、高齢で手押し車を使う人や、下肢障害があって杖や松葉杖で歩く人たちにとっての400メートルは結構な距離となり、かかる時間も相当なものになりますよね。
なので、そのような移動に困難を抱える人と一緒に移動する時には、時間に余裕をもって計画を立て途中休憩をしながら行くとか、場合によっては近くでもタクシーを利用するなど配慮が必要です。たとえ数分の距離だからと安易に歩いて行くことにすると、短い距離でも直線ではないので、途中何回も曲がったり進んだりを繰り返し、結果長距離を歩かせてしまうことにもなってしまいます。夏場に人よりも倍の時間がかかって歩くようなことになれば、途中で着替えが必要になるほど汗だくになってしまうことも。
時間や距離の感覚は人それぞれで違いますが、移動に困難を抱える人にとって、「すぐそこ」は結構遠い距離なのです。
「すぐそこ」にはご注意を。
歩く距離をちょっと意識してみましょう。