社会資源紹介コーナー~つなぐ、つながるために~
本田さんは、奥様の優子(ゆうこ)さんと二人で、MAKES MOONを切り盛りしています。入り口の一角には、作家さんたちの雑貨の他、優子さんが作った洋服や、陶芸作家である優子さんのお父様の陶器も並んでいます。「作ったものを紹介する物販スペース、料理にお父さんの陶器を使ったカフェ、陶芸教室ができるスペース…全てが叶う物件を見つけて、ここでの開業を決めました」と本田さん。その後、美味しい料理の噂は口コミで広がり、吸い寄せられるようにやって来るお客さんとの様々なご縁が生まれます。「ある時、聴覚障害の人がフリーマーケットに遊びに来て、その後も来てくれて、その人の友だち、知り合いへと繋がって、ここで『手話交流会』を開くことになったんです」カフェで食事を楽しみながら、聞こえる人と聞こえない人が手話を通して交流するスタイルは、この場所で新たな繋がりを生んでいます。そしてこの「繋がり」―『手話交流会』にとどまらないようです。
「イベントの食事作りを手伝ったのがきっかけで、放課後デイサービスの子どもたちとも繋がりました。2ヶ月に一度、子どもたちがここでアイシングクッキーを販売するんです。ただ売るだけではなくて、どういうクッキーを作ってもらって、どんな風に販売するかも先生と一緒に考えています。今では、子どもたちのクッキーを目当てに来る人もいるくらい地域に浸透してきているんですよ」
障害のある人の就労支援に関わる人、児童養護施設の職員、障害のあるお子さんを持つ親御さん…MAKES MOONには、様々な背景を持ったお客さんが訪れるといいます。
「ありがたいことに本当に色んな人が来るので、この人とこの人を繋げたいと思う事があり、それならいっそみんなが繋がれるようにと始めたのが、定期開催する交流イベント『月乃(つきの)縁(えん)』です。小学校の先生、大工、放課後デイの職員、ショップ店員など、その時々に集まれる人がふわっと集まってお互いの経験を話したり、発表を聞いたり…そんな中で、また新しいことが動き出す―そういうことが好きなんでしょうね」と本田さん。MAKES MOONを始める前は、障害のある人と関わる機会もなかったそうです。「色んな人と関わる中で、障害のある人だけではなくて、その周りの人、兄弟、親御さんたちの『話せる場』もあったらいいなと思うようになって…。難しいことも、人の輪が広がれば解決できる人とも繋がるかもしれない。そうやってみんなの負担がちょっとずつ減っていけば…そんな事を思うようになりました」本田さんはMAKES MOONでも何か出来ないかと、就労支援事業の一環に関わるために動き出したそうです。「障害があるとかないとか関係なくなるためには、その間になにか一つあるとうまく行く…そういうことっていっぱいあると思うんですよね。ここが、そういう場所になれたらと思います。お店の名前MAKES MOONは直訳すれば「月を作る」。月って、月自体は光ってないけど、太陽の光を反射して僕たちに見えてる。例えるなら、お店は太陽でお客さんが月。お客さんを照らして誰かに繋げる、繋がる場所になる。そんなお店に、やっと近づいてきた気がします」そう話す本田さんの目は、もう「次の何か」を探しています。
地域に根を張り、縁を紡ぎ続けるMAKES MOON―「地域のカフェ」に新しい可能性を感じます。
CAFE&BAR MAKES MOON(Instagramページへ)
CAFE&BAR MAKES MOON(facebookページへ)
八幡西区浅川学園台3-18-10 電話 070-4398-5111