それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、いろいろな場面に登場する「それあるっ!劇場」
今回は「障害の社会モデル」についてのお話です。
〈登場人物〉
エピソード19~まだまだホッとできません~
―こんな世界がありました―
書物がすべて点字で作られていて、点字が読めない自分はそこから一切情報を手に入れることができません。
―こんな世界がありました―
周りの人がみんな手話で話していて、手話ができない自分は一体何を話しているか全く分かりません。
―こんな世界がありました―
車いすを使っている人たちの目線で作られた社会では高さが窮屈で使いづらく、そんな周りと違う困難のある自分を見て可哀そうな視線が向けられます。
これは空想の世界の話ではなく、現実社会でも同じようなことが起こっているのではないでしょうか?
「障害」とは何でしょう?
障害の社会モデルは、障害は社会(物理的、人的環境など)と個人の心身機能の障害(見えない、聞こえないなど)が合わさった場面において発生するもので、社会の環境やあり方、仕組みが作り出しているものであり、それを社会全体の問題と捉える考え方です。
自分だけが周りと違う世界に迷い込んでいる息子パンダは今、身体的に障害はありませんが、点字・手話・車いすの環境しかない世界では、日常生活において様々な場面で困難を抱える「障害のある人」になります。
どこへ行ってもオロオロするばかりで何もできず、不安で目の前が真っ暗になりそうなとき、ハッと目が覚め、夢だったと分かった息子パンダ。
ホッと一息、いつものように街へ出てみますが、街の光景を見てこれでホッとして良いのかどうか迷ってしまいます。
新刊入荷のポスターが貼られた本屋の横を、そんなポスターがあるとは知らずに横切る目の見えない人。
聞こえる人が音声だけで楽しそうに会話をしている中、内容が分からず会話に参加できない聞こえない人。
バスに乗りたくて待っていたけど、乗せるのに時間がかかるからと素通りされてバスに置いて行かれた車いすの人(これは障害者差別解消法では障害を理由とした差別になります)。
現実社会では、このような社会モデルの「障害」はいたる所に存在します。
このような社会が生み出した「障害」をなくしていくためには、社会全体でその原因となるものを取り除いていかなければいけませんし、完全には無理でも、できることを考える(合理的配慮)ことが大切ですよね。
これは社会の責務であって、社会が環境を変えるべきという主張に対して「個人のわがまま」だと言う問題ではないのです。
さあ、息子パンダさん、これからやることはたくさんありますよ。一緒に頑張りましょう!