北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、いろいろな場面に登場する「それあるっ!劇場」
今回は「生活家電」についてのお話です。
〈登場人物〉
エピソード16~結局はレトロが一番~
食べることは生きること、私たちは生きていくためにご飯を食べています。
デリバリーやお惣菜のラインナップも充実し、便利になった今日この頃ではありますが、ご飯を食べるために多くの人は料理をしていると思います。
それは見えない人(見えない・聞こえない盲ろう者を含む)たちもしかりで、自分や家族のために料理をしている人はたくさんいます。
「料理は火を使ったりするので、見えないと危ないからそもそもやらないんじゃないか」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれません。ですが、最近は生活家電が充実し、電気ポットでお湯も沸かせるし、IHのコンロだと火の心配もありません。また電子レンジを使うと加熱調理もお手軽です。音声でガイドをしてくれる機種も増えてきました。まさに技術発展のたまものでありがたいことですね。
さて今回登場のパンダさん、盲ろう者で見えないし聞こえませんが、触手話*(しょくしゅわ)の通訳ガイドヘルパーと一緒に古くなった電子レンジを買い換えようと電器店を訪れました。
コーナーではおしゃれなものから多機能なものまでまさに充実のラインナップ。店員さんの説明にも熱がこもります。一押しの商品は、液晶のタッチパネルで見やすいし、スマホと連動してレシピを追加できるし、などなど・・・。
でも、見えない・聞こえないパンダさんにとって、そのような便利機能は不要で、むしろ必要なのは触って分かりやすいボタンやつまみと、一回押したら10秒、1分などのシンプルな機能でした。
店員さんに尋ねてみると、奥の方からレトロな電子レンジが登場。いろいろ触って説明を受けると、まさにパンダさんの求める条件とピッタリで本人も大満足。なんと、生産終了商品につき在庫限りだったそうです。
障害のある人や高齢の人にとって、現在の高機能な家電は操作が複雑で覚えられないし、タッチパネルは押した感覚が分からなかったりします。その点昔の家電は、ボタンを押し込んでカチッと言ったらスイッチオン、また目盛り1つで強弱を切り替えられるなどすごくシンプル。
「結局はレトロが一番」なパンダさん。
同じように思う人たちはたくさんいます。まだまだ必要なシンプル家電が店頭からなくなりませんように…。
*触手話…通訳者の手話を対象者に触ってもらい伝える方