今を駆ける~障害福祉の世界に生きる人たち~
安藤 祐子
私は12歳の障害児の母です。
息子は、アンジェルマン症候群という希少染色体疾患。生活全部、全介助です。そして、さらにその介助にもこの症候群独特な特性のおかげのプラスアルファのテクニックを要します。最重度知的障害で、身体障害もあるのに多動で、てんかん出ちゃうと白目むいちゃう、そして春頃になると決まって睡眠障害で途中覚醒ありの4時から朝活やっちゃう、目の下のクマが半端ない、「あんこ」と「列車」をこよなく愛す可愛い我が子です。
そんな我が子、実は、唯一この症候群でよかったと思える特性が1つあります。それは、見るからに幸せそうな笑顔。加えて外人なみのスキンシップ。これは、本当にすごい武器で色んな所で「これさえあれば、どこででも生きていけるね」と言われています。とにかくかわいがってもらえているようです。これも知的が低く、生きる為に備えられているのでしょうか?というくらいです。現にご近所さんからも陰でエンジェルちゃんと呼ばれるくらい、ご贔屓にしていただいて、お菓子やパンの頂きものも数知れず。1度母用なのか缶酎ハイだったこともあります。ただ、出来る面があると同時に悪い面にもなってしまうという、おそらく障害児あるあるだと思いますが、このスキンシップもいきすぎてしまいます。隙を狙って相手の首を取りにいき寝技に持ち込もうとする恐ろしい面もあります。かなりお年を召した方に行こうとした時は冷や汗もんです。ですが、今では、母も12年も経つと色んな場面での色んな経験を経たので、早業で彼のストッパーへと変身できるようになりました。
さて、そんな彼も来年からは中学生。卒業後、更には親亡き後までこれから少しずつ考えないといけません。最終的には、大切な我が子の障害をきちんと理解してくれて温かく見守ってくれる人、場所を見つけてあげるのが私たち親の役目だと思っています。
今、私は、ありがたいことに障害福祉の環境で情報提供や収集業務のお仕事をさせていただいています。自分の子どもの事と重ねながら、色んな障害のある方の生活が豊かになれるように動いていけたらいいなぁと思います。