それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、これからいろいろな場面に登場します
今回は、視覚障害(盲導犬ユーザー)に関するお話です。
〈エピソード7〉~決めつけないで!~
障害のある人たちの社会参加が進んできて、読者の皆さんも街中で障害のある人を見かけることが多くなったと思います。
しかし、だからといって私たちの暮らす社会が、障害のある人たちにとって暮らしやすい環境になったわけではありません。お互いを知らないが故に、まだまだ誤解されていることもあるのです。
今回登場のふたごパンダは、テラス付きのオープンカフェに向かったのでした。
ですが、この日は冬空の寒い日。店内も空いていて、あったかい室内でコーヒーでもと思っていたのに、盲導犬を見た店員さんが何も聞かずに外のテラス席を案内しようとしてしまったのです。
盲導犬も動物であることに違いはありませんので、お店側として衛生面でとか、他のお客様に犬嫌いの人がいるかもなどの心理が働いてしまうのは致し方ないことかもしれません。
盲導犬などの補助犬は「身体障害者補助犬法」に基づいて訓練・認定されています。また、ユーザー
には、補助犬のブラッシングや定期的なシャンプー、検診や予防接種などの衛生管理と行動管理が義務
付けられており、ユーザーはこれらに責任を持って社会参加をしています。
障害のある人たちの社会進出と自立を促進するため、補助犬法は、飲食店やホテル、病院といった不特定多数の人が利用する施設側にも、補助犬の同伴受け入れを拒むことはできないとしています。
盲導犬ユーザーにとって、自身の「目」の代わりである盲導犬は必要不可欠な存在ですから、盲導犬が室内への入店を断られることは、盲導犬を必要としているその「ユーザー(人間)」を受け入れられないに等しいことになるのです。
今回は、店員さんが店長さんに確認し、結果的に店内に入れることになりました。店長さんは法律も踏まえて店内受入れを決めていたのかもしれません。しかし店員すべてに周知されていない。こういったケースはしばしば見られます。店長が不在だから確認できないと、入店を断られるケースもあるので
す。従業員が皆、理解し納得するような周知は不可欠です。
寒い日にカフェを訪れたお客さんに、何も聞かずに外のテラス席を促すことを普通はしないでしょう。
「犬を連れている=店内は無理」という固定観念が、店員さんの行動につながったのでしょう。
法律を知らなくても「席はどうされますか?」という一言があれば、ユーザーの気持ちも違ったはず
です。
補助犬を同伴したお客さんも、そうでないお客さんもごく当たり前に受け入れる。
一人の人間として、まずはきちんと話を聞く。そこから始めませんか?
それがお互いに理解し、共に生きる社会へ一歩ずつ進んでいく歩みになりますから。