ひと
誰もが生きやすい社会を求めて
うさぎちゃんライブラリー 中島 和子氏 (なかしま かずこ)
昭和48年9月に生まれた長女が知的障害児であることが判ったことから、手をつなぐ育成会(知的障害のある子どもの親の会)やおもちゃライブラリーと出会うことになりました。
障害のある子どもは、親が頑張って護らなければならないと考えられていた時代の子育てでした。福祉サービスが乏しい中、私たち親は知的障害のある子どもに必要な支援を求めて、学習し、役所の門をたたき、足りないものを自分たちで作ってきました。この活動に加わることで、多くの親たちと出会い、その力強さに圧倒されました。私にも出来るのではないかと、障害のある子と共に生きていく覚悟を新たにしたように思います。活動の拠点は、東部障害者福祉会館(平成14年9月までは小倉北区大門にありました)。会議や研修会、子どもたちの余暇活動にと、今日も会館を利用して育成会活動は盛んです。
長女が養護学校(現在の特別支援学校)小学部に通学を始めたころ、障害児のための布の絵本を作っているグループに出会いました。布と糸と針に親の思いを込めました。やがてこの活動は、総合療育センターを拠点とする北九州市おもちゃライブラリーの創設(昭和57年)に繋がっていきます。おもちゃライブラリーは、主に障害児・者とその家族を対象におもちゃの貸し出しと遊び場の提供などの活動を行うボランティア組織です。地域にも欲しいという声があって、分館開設へとその活動が広がっていき、平成4年に西館うさぎちゃんライブラリーを西部障害者福祉会館内にオープンしました。おもちゃで遊ぶ子どもの成長の支えとなり、親の方々の子どもへの関わりを豊かにする場となるように、ボランティアスタッフとして心を込めて開館に当たっているところです。
知的障害のある人たちが社会の中で生活していくために、私たちは様々な働きかけをしてきました。その結果、福祉サービスが充実し権利擁護の制度も整ってきましたが、必ずしも法制度だけで生活が支えられているわけではありません。障害特性や障害のある人も地域で生きていくことへの社会の理解が必要です。一般の人が知的障害のある人と出会う機会は少ないと思います。出会った時には、最初はどう接していいかわからないかもしれませんが、同じ時を過ごし、できたら友だちになっていただけませんか。 そんな出会いが社会に広がっていくと、素敵です。