ひと
だれでも どこでも いつでも楽しめる音楽療法(おんがくりょうほう)
日本ミュージック・ケア協会上級認定 指導者 横山 紀子(よこやま のりこ)氏
「この曲が流れると、あの時の場面(エピソード)を思い出す。」
こんな経験をされたことがありますか?それは、嬉(うれ)しい気持ち、悲しい気持ち、どんな思い出でしょうか?『心を動かす力』音楽の持つすばらしい力だと私は思っています。
私は、この音楽のすばらしい力に、福祉を学んでいた学生時代に出会いました。当時、知的障がいがある子どもたちの体操教室で、京都から講師(こうし)を招いてミュージック・ケアをすることになり、ボランティアとして参加しました。その時の子どもさんの楽しむ表情、そして、何より自分自身が、心から楽しみ、癒(いや)される感覚に感動を覚えたのです。そこからミュージック・ケア指導者として、勉強をはじめました。
ミュージック・ケアとは、赤ちゃんからお年寄りまで、障がいの有無に関わらず、『だれでも どこでも いつでも楽しめる音楽療法』です。音楽に合わせて、身体を動かしたり、鈴や鳴子(なるこ)をならしたり、スカーフ、バルーンなど、様々な道具を使っていきます。音楽の特性(とくせい)を活かすことで、音楽を身体で感じ、全身に心地良い感覚を与えます。そして、情緒(じょうちょ)の安定、発達援助、機能訓練などの効果にもつながっていきます。
東部障害者福祉会館でのミュージック・ケアの講座は、長年毎年開催されていています。私が講師をさせて頂くことになってから、今年で三年目になりました。元々担当していた義妹(ぎまい)から受け継(つ)いだ大切な想いを胸に、ミュージック・ケアをドキドキしながら行う私を、みなさんがあたたかく迎え、受け入れてくださったことをよく覚えています。
この講座は、年齢も障がいも様々な方が受講されています。参加の仕方はそれぞれで、音楽を聴くことを楽しむ方、リズムに合わせてダンスを楽しむ方もいます。参加の仕方は違っても、音楽を楽しむ気持ちは、私も含め、共通しています。共感、一体感、達成感を味わうことができ、お互いが高め合う、ケアされあう関係になります。私自身が、受講されるみなさんの笑顔に、たくさんの元気をいつも頂いています。