今年度の、主な文学賞を受賞した作品のいくつかを、サピエ図書館での着手・完成状況と併せてご紹介します。
●第169回芥川龍之介文学賞(2023年上半期)
「ハンチバック」 市川 沙央 著
〈内容〉重度障害者の井沢釈華は、10畳の自室からあらゆる言葉を送り出す。釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲し、生きれば生きるほど、身体はいびつに壊れていき…。『文學界』掲載を書籍化。 (点字 完成あり、デイジー・テキスト 着手あり)
●第169回直木三十五賞(2023年上半期)
「極楽征夷大将軍」 垣根 涼介 著
〈内容〉動乱前夜、北条家の独裁政権が続き鎌倉府の信用は地に堕ちていた。足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとするが…。足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。『オール讀物』連載を加筆修正。 (点字・デイジー 着手あり)
「木挽町のあだ討ち」 永井 紗耶子 著
〈内容〉雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆によるみごとな仇討ちが成し遂げられた。2年後、ある若侍が大事件の顛末を聞きたいと木挽町を訪れる。芝居者たちの話から炙り出される真相は…。『小説新潮』掲載を書籍化。 (デイジー・テキスト 完成あり、点字 着手あり)
●第69回江戸川乱歩賞
「蒼天の鳥たち」 三上 幸四郎 著
〈内容〉鳥取出身の作家・田中古代子をモデルに、大正期を描く歴史活劇ミステリー。 (点字・デイジー 着手あり)
●第36回三島由紀夫賞
「植物少女」 朝比奈 秋 著
〈内容〉植物状態になった母とその娘。成長するにつれ、母の存在も大きく変化し…。「生きるとは何か」を問う、現役の医師だからこそ描けた真摯な母娘の物語。『小説トリッパー』載を加筆・修正。 (デイジー 完成あり、点字 着手あり)
●日本推理作家協会賞 長編賞
「夜の道標」 芦沢 央 著
〈内容〉1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。元教え子が捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、その足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、捜査を続ける刑事、そして、殺人犯から食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく…。慟哭の長編ミステリー。 (点字・デイジー 完成あり)
「君のクイズ」 小川 哲 著
〈内容〉クイズ番組の決勝戦に出場した男性は、対戦相手の不可解な正答を訝しみ、不正工作を疑う。彼はなぜ問題が読まれぬうちにボタンを押し正答できたのか?男性は真相解明のため、決勝を1問ずつ振り返ってゆくのだが…。唯一無二のクイズ小説。 (点字・デイジー 完成あり)
●日本推理作家協会賞 短編賞
「異分子の彼女 腕貫探偵オンライン」 西澤 保彦 著
〈内容〉新郎が刺殺、入れ替わった死体、謎の“無理心中”…。コロナ禍の櫃洗市で発生する奇怪な事件の謎を、公務員探偵がオンラインで鮮やかに解決するミステリ作品集。『Webジェイ・ノベル』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。 (点字・デイジー 着手あり)